知がめぐり、人がつながる場のデザイン 働く大人が学び続ける"ラーニングバー”というしくみ:中原 淳 [2011年読書記録]


知がめぐり、人がつながる場のデザイン―働く大人が学び続ける”ラーニングバー”というしくみ

知がめぐり、人がつながる場のデザイン―働く大人が学び続ける”ラーニングバー”というしくみ

  • 作者: 中原 淳
  • 出版社/メーカー: 英治出版
  • 発売日: 2011/02/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


本書は著者が主催している「ラーニングバー(Learning bar)」という、組織を超えた「大人のための学びの場」への取り組みについて語られた本です。

「ラーニングバー」とは、大人の学びの機会を、異なる立場の人々が、対話を通じて異なる意見を知ることで、自分 を知り、考える場の提供を目的としたイベントです。そこでは「働く大人」と「組織」と「学習・成長」という3つの領域に関心のある人々が集い、関連する最先端のテーマをもとにプレゼンテーションやディスカッションが行われています。

本書は、その学びの場がなぜ生まれたのか?、学びを場をどの様に創っているのか?、どの様な課題が生まれているのか?、といったことについて語られています。

私は、研修やワークショップなどといった、学びの場を企画・デザインする仕事にたずさわっていますが、企画するにあたって、自分に巻き起こる問いは以下のようなものでした。

  • 学びの場をどのように演出すれば、参加者の学びは促進できるのか?
  • 異なる意見を知ることから、建設的な対話が生まれ、対話から新しい考えが生まれ出る。そんな環境をどの様に演出するか?
  • その場におけるファシリテーションのあり方は?
  • 運営スタッフが心がけるベキことは?


本書には、実際のラーニングバーの運営を通じて得られたノウハウや、発生した課題がたくさん書かれており、学びの場を設計する上で、非常に参考になりました。

著者は、ラーニングバーのような形態の学びの場がさまざまな形で開かれ、進め方も仮説検証的に多様なケースが生まれることを望んでいます。

私も本書で得られた学びを参考に、新たな学びの場づくりにチャレンジしていきたいと思いました。

学びの場の演出あり方を知る上で非常に参考になる本です。

Nellson's MEMO

ラーニングバーとは?
知的かつ愉しい(Serious fan)シリアス・ファンな場所

ラーニングバーのプロセス
①聞く②考える③対話する④気づく

ラーニングバーのルール
①「私」を主語にする。
②経験談や主観を歓迎 
③人はそれぞれ違っていて当たり前
④対話のなかでは「あえて判断を保留する」

コンセプトとなるキーワード
内省・対話・他者・語り・学習

支度・しつらえ・しかけ ①準備を整えて参加者を待つ(支度)
②参加者がくつろげる空間を演出する(しつらえ)
③すべての人がルールを共有する(しかけ)

用意と卒意/主客一体/一座建立

カリキュラムの設計
モジュール・ブリコラージュ・形成的評価/多様性と知識構築性

内容の設計
①テーマの設定(みんなの問題であるか?)
②講師の選定
③良質な問いかけ(ドライビング・クエスチョン)の設定

空間デザイン
①学習者中心主義
②主催者がみんなで楽しんでやる。やらされ感はすぐに学習者に伝わる。
③形成的評価を忘れない

学習とは
学習とは、すでに学習者がもっている知識と、新しく学習者が獲得した知識が反応し、さらに高次の知識が構築されるプロセスにほかならない。

学習を引き起こすためには、学習者のもつ知識を想定し、そこにどのような問いかけを投げかけ、何を導き出すのかについて、常にセンシティブになる必要があります。

対話と内省
良質な問いかけができなければ、対話はうまれない。対話なきところに、内省はうまれない。

対話とは、それぞれ人が「違うこと」「違った意見を持っていること」をいったんの判断を保留して、鑑賞・吟味しあう行為である。

自分にとっての「アタリマエ」を疑い、その背後にあるものに気がつくこと、それが対話のうみだす本当の効果。

学びを主催・運営する側の心がけ
人に対して「学べ・変われ」というメッセージを伝える人は、メッセージを受け取る人からも、「見られていること」に意識的でなければなりません。他人に「変われ・学べ」と言いながら、主催側がテーマについて学んでいないセミナーやフォーラムは論理矛盾でしょう。

セミナーやフォーラムやワークショップの設計とは、「コラボレーション」なのです。「この講師に話をしてもらうことで、自分たちはどんな問いかけを聴衆に投げかけたいのか」といったことを念頭におき、聴衆の学習経験の総体を講師とともにデザインしなければならない

カリキュラムの準備不足やファシリテーターの力量不足ゆえに、場当たり的に場の構成を見直さざるを得ない状況と経験あるファシリテーターが、あえて意図的に場を非構成的にデザインすることは、混同してはいけない

学習者中心主義
学習者中心主義とは
学習環境をデザインするときに、学習者がそれまでにもっている知識・技能・行動スタイルを最重要視すること。
学習者に十分なレディネスがある場合は凝った工夫は必要はない。学習者をしっかり見つめること。

場の心理的安全の確保
自分の所属している組織から切り離され、1人の大人としてその場にいられる空間を確保すること。
深く内省したり、他の参加者たちと開かれたコミュニケーションをとったりできる空間を確保すること。

参加者は、「自分はこの場でどう振る舞えばいいのか」と考えている。その際、情報源となるのはその場にる人たちの振るまい方です

自由闊達な対話を行いたいのであれば、学習者を過剰な自由に投げ込まないことです。しっかりとしたルールと制約を設定することが、逆に自由な対話・議論を促進する。

これから理解することの全体像をあらかじめ学習者が持っているかどうかは、非常に重要。

人は教えてもらえると思った瞬間、考えないスイッチが入る。

働く大人が勤務後に集中できる時間は30分。


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