減速して生きる−ダウンシフターズ−:高坂勝 [2011年読書記録]
自分の好きなことを仕事にし、自分のありかたを軸に生きる人たちがいます。著者の高坂勝さんは「ダウンシフト」というやり方で、その生き方を実現している人です。
「減速生活者(ダウンシフター)」とは次のような人々を指し示す言葉として、アメリカの経済学者ジュリエット・B・ショアによってつくられた言葉です。
過度な消費生活から抜け出し、もっと余暇を持ち、スケジュールのバランスをとり、もっとゆっくりとしたペースで生活し、子供ともっと多くの時間を過ごし、もっと意義のある仕事をし、彼らのもっとも深い価値観にあった日々を過ごすことを選んでいる」
『浪費するアメリカ人』より
高坂さんは大手企業を30歳で退職。安定した会社勤めをやめ、その後、過去を棚卸しするための旅などをへて、2004年に6.6坪の小さなオーガニック・バー「たまにはTSUKIでも眺めましょ」を開店。お店の経営を行うかたわら、田んぼで米を自給する半農半X生活を送っています。
本書では、高坂さんの就職からバーの開店までのエピソードや、生活をリデザインするにあたっての考え方、そして、自分のありかたの守るためには利益の拡大をあえて抑制することも厭わないという、バーの経営スタイルなど、高坂さんの「ダウンシフト」の道のりが書かれています。
平川克美さんは著作『移行的混乱』において、日本は実質20年くらい経済成長していないことを指摘し、「経済成長しないとやっていけない」システムから「経済成長しなくてもやっていける」システムを創ることを考えるべきと提案しています。
そのために私たちができることは、経済成長(より上へ、より多く)オンリーではない、人間としての本当の意味での豊かさを求める、といった生き方を考えはじめることが大切な気がしています。
西村佳哲さんの著作では「仕事」と「自分」の関係の中で「豊かさ」について考えて来ました。高坂さんの著作では、働き方も含めた「生活そのもの」をどのようにデザインし直すか、といった切り口でより現実的で参考になる事例が得られたと感じています。
近々「たまにはTSUKIでも眺めましょ」にも行ってみたいと思います。いろいろ話を聴いてみたいとおもいました。
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2011-04-09 23:36
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