「認められたい」の正体 承認不安の時代:山竹伸二 [2011年読書記録]

「認められたい」の正体 ― 承認不安の時代 (講談社現代新書)

「認められたい」の正体 ― 承認不安の時代 (講談社現代新書)

  • 作者: 山竹 伸二
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/03/18
  • メディア: 新書


自分の考えに自信がなく、誰かに認められないと不安でしょうがない。

わかります。自分自身もそういうところが多分にあるから。本書はそんな方に読んでいただきたい1冊です。

自分の行動や判断のよりどころを、自分の考えや信念ではなく、周囲や他人の判断にゆだねてしまう。このため、他者の反応や承認に必要以上に気を使ってしまい、自由に振るまえないでいる。仲間の承認を得るために、ありのままの自分を抑えて、仲間の言動に同調した態度をとり続けてしまう。このような行動を著者の山竹さんは「空虚な承認ゲーム』と名付けています。

現代は『空虚な承認ゲーム』に陥る人々が増えていると山竹さんは指摘し、そのような現象が起こっている社会的背景と個人が承認の不安に陥っていくメカニズムを解説し、承認の不安を乗り越えて、ありのままの自分を表現して生きていくための考え方について、現象学の観点から解説しています。

Nellsonが学んでいる認知行動療法の世界では、人間の行動はその人の行動の憲法ともいえる核心念という考えに縛られています。核心念の形成は子供にとって最初の他者である両親との関係性に大きく影響を受けるので、山竹さんの承認不安の形成メカニズムの解説は非常によく理解できました。

山竹さんによると、承認不安は、他者との関係性の中から起こる不安であり、それは両親との関係性にさかのぼると指摘。そして、承認不安が形成されるメカニズムを非常に丁寧に分かりやすく解説しています。

現象学とは、人間の意識の中に「認識」が確立されていく過程を分析する学問です。絶対的な価値観というものは不安定なもので、単に多くの人が共有する価値観にすぎないと考え、その価値観がどの様に形成されたかを考える学問です。

人間同士のコミュニケーションで認識や意見の違いが生じた場合、それぞれの判断のもとになった背景を一緒に共有し振り返えることで、人間に生じやすい思い込みを修正することが可能になり、両者の認識の一致する方向へと志向していくと考えます。

承認不安に陥らないためには「一般他者の視点」から内省すること、つまり、身近な他者だけの反応に左右されず、他の考えをもった人の意見・考えに耳を傾けて、自分の行動を選択することが重要と山竹さんは述べています。

このことは、他人の考えであれ自分の考えであれ、1つの考えに縛られずに自分の行動を選択していくことにつながると思います。そのことが、他人をオープンに受けいれつつ自分も受け入れる、というバランスのよさを生んでいけると思います。

人間関係で悩む人に読んでほしい1冊です。

Nellson's MEMO
空虚な承認ゲーム
自分の考えや感情を過度に抑制し、本当の自分を偽って家族や仲間に同調し、無理やりに承認を維持しようとする。それはただちに「空虚な承認ゲーム」となり、必ず事故不全感がつきまとう。

自分とは無関係に思える人々を蔑むことで、自らの存在価値の底上げを図ろうとする行為。

空虚な承認ゲームが蔓延するのは、社会共通の価値観を基盤とした、「社会の承認」が不確実となり、コミュニケーションを介した「身近な人間の承認」の重要性がましているから。

親和的他者/集団的他者/一般的他者

承認の欲望=自己価値の欲望=生きる意味の追求
私が他者から欲望されること、それは私が欲望されるだけの価値があること、私の存在価値が承認されること

強い承認不安と自己価値の喪失感
自らの自由を犠牲にしてでも社会秩序に従うのは、社会からの承認が自分の存在価値を証明してくれると、心のどこかで信じているからだ。

自由と承認の葛藤
自由が拡大する一方で承認の可能性が低くなり、じわじわ承認不安が満ちてくる。

自己了解と一般他者の視点

自己決定による納得は自由の最も重要な本質
他者への同調・他者による拘束からの解放以前に、自分でどうしたいのか考え、納得し、答えを導きだすことにほかならない。

感情を素直にうけれること。
感情は自己了解(自己への気づき)を導く最良の方法

承認不安によって作られた自己ルールは、それを捨てても他者に見捨てられないという確信がなければ変えることはできない。
自分1人では自己了解が難しい場合、ありのままの自分を受け入れてくれる存在に自己の分析を手伝ってもらえば、自己了解はより一層生じやすくなる

一般他者の視点
この視点によって自らの道徳的価値を認識できたなら、私たちは承認不安や不遇感に耐え、自己価値を信じる事ができる



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