生きる意味:上田紀行 [2011年読書記録]


生きる意味 (岩波新書)

生きる意味 (岩波新書)

  • 作者: 上田 紀行
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2005/01/20
  • メディア: 新書


NHK教育テレビで3月末まで放映されていた、『Q〜わたしの思考探求』の司会をつとめていました、東京工業大学大学院准教授で文化人類学者の上田紀行さんの著作です。

本書は、上田さんが求めていることは、私たち1人ひとりが「自分の『生きる意味』の創造者となる」ことです。

これまでの日本社会では、私たちは他者によって作られた欲求(経済的利得の追求・それに基づいた様々な価値観)を追求してきました。他の人が欲しがるモノを自分も欲しがること、他の人が望むような人になること、常に「他者の目、他者の評価」を基準にして生きてきましたし、それがヨシとされた時代でもありました。

しかし経済成長が失われ、私たちが生きる意味としてより所としていた「他者の欲求」は崩壊してしまいました。その上、常に「他者の目・他者の評価」に応えることになれきった私達は、自分の「生きる意味」を見つけ出すことも考え出すこともできなくなっている。ここに潜む大きな問題を、上田さんは「生きる意味の不況」と呼んでいます。

そして、上田さんは生きる意味を見つけ出すキーワードとして「ワクワク感」と「苦悩」をあげています。そして同じ志向や考え、悩みや問題意識、などを共有できる、多様なコミュニティを作りだし、私たちの「生きる意味」のコミュニケーションを取り戻すことで、個人の「内的成長(生きる意味の成長)」を深めて行くことを提言しています。

この本が出版されてから数年後の今、上田さんが指摘し提言したことは、抜き差しならない所まで来ているように感じます。

私たちは誰かが意味を与えてくれることになれきっています。

一方で、私のまわりでは「同じ悩みや考えを持つ人どうしによる、率直なコミュニケーションや対話の場」が少しづつ増えているような気がします。そういう場に参加すると、小さな一歩だけど、みんな歩んでいるんだなぁって思い、少しうれしくなったりします。

Nellson's MEMO
・他の人が欲しがるような人生を、あなたも欲しがりなさいという人生観
・自分が何を欲しがっているのよりも、他の人が何をほしがっているのか
 を、自動的に考えてしまう欲求のシステム

・本当の自分を見せたら嫌われる。だから受けいれられやすい自分を
 つくり上げようとする。
・自分が自然であることよりも、その場の「意図」や「効率」を常に気に
 するように成形され「意図」や「効率」にそぐわないものは排除される

・ある1つの論理を徹底し、合理的に生きるということは、その論理が
 間違っている場合には悲劇をもたらす。

・苦悩すべき時に苦悩することが真の癒しにつながる。


*************************

原発廃止に賛成しています。

オンライン署名「枝野さん、安全な電気がほしいです」
http://www.greenpeace.org/japan/ja/form/edano3/  

浜岡原発反対署名フォーム
http://www.plumfield9905.jp/hamaoka/form/form.php

上関原発反対!あなたの声を届けよう!
http://www.antinuke.net/kaminoseki/

また、原子力委員会が意見を募集しています。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/tyoki_oubo.htm

*************************

勤めないという生き方:森健 [2011年読書記録]


勤めないという生き方

勤めないという生き方

  • 作者: 森 健
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2011/02/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


本書は、自分の人生や生きがいを軸にして、自分の好きなことを「自分の仕事」にして生きる人へのインタビュー集です。

この本に出てくる人々は会社勤めをやめて独立した人ばかり。独立後「職人」「地域」「お店」「農業」「NPO」といった様々な領域での仕事に携わっています。それぞれの人が、なぜ今の道を選ぶにいたったのか。どこに苦労や困難があり、どのように向き合っているのか。またその人にとって仕事とは何か、お金とはなにか。といったことについてインタビューされています。

同じような内容の本としては、西村佳哲さんの『自分の仕事をつくる』や『自分の仕事を考える3日間』シリーズなどがありますが、本書はもう少し現実的というか、自分の周囲にいそうな感じのする人々の独立にまつわる現在進行形のヒストリーが語られています。

自分の働き方を考えたい人にオススメです。

Nellson's MEMO
辞める時点では、次に何をすべきか明瞭に把握できていない。非常に感覚的なものであってりする。ところが、人と交流したり、具体的な一歩を踏み出すなかで、そのもやもやした意識の輪郭がハッキリしてくる。

誰にも共通しているのは「どうしても」がその人の人生に欠かせない要因になっている点だ。やりたいことが決まっているわけでもない。けれども明日いる場所はここではないとわかってしまった。だから動いた。


減速して生きる−ダウンシフターズ−:高坂勝 [2011年読書記録]


減速して生きる―ダウンシフターズ

減速して生きる―ダウンシフターズ

  • 作者: 高坂 勝
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2010/10
  • メディア: 単行本



自分の好きなことを仕事にし、自分のありかたを軸に生きる人たちがいます。著者の高坂勝さんは「ダウンシフト」というやり方で、その生き方を実現している人です。

「減速生活者(ダウンシフター)」とは次のような人々を指し示す言葉として、アメリカの経済学者ジュリエット・B・ショアによってつくられた言葉です。

過度な消費生活から抜け出し、もっと余暇を持ち、スケジュールのバランスをとり、もっとゆっくりとしたペースで生活し、子供ともっと多くの時間を過ごし、もっと意義のある仕事をし、彼らのもっとも深い価値観にあった日々を過ごすことを選んでいる」
『浪費するアメリカ人』より


高坂さんは大手企業を30歳で退職。安定した会社勤めをやめ、その後、過去を棚卸しするための旅などをへて、2004年に6.6坪の小さなオーガニック・バー「たまにはTSUKIでも眺めましょ」を開店。お店の経営を行うかたわら、田んぼで米を自給する半農半X生活を送っています。

本書では、高坂さんの就職からバーの開店までのエピソードや、生活をリデザインするにあたっての考え方、そして、自分のありかたの守るためには利益の拡大をあえて抑制することも厭わないという、バーの経営スタイルなど、高坂さんの「ダウンシフト」の道のりが書かれています。

平川克美さんは著作『移行的混乱』において、日本は実質20年くらい経済成長していないことを指摘し、「経済成長しないとやっていけない」システムから「経済成長しなくてもやっていける」システムを創ることを考えるべきと提案しています。

そのために私たちができることは、経済成長(より上へ、より多く)オンリーではない、人間としての本当の意味での豊かさを求める、といった生き方を考えはじめることが大切な気がしています。

西村佳哲さんの著作では「仕事」と「自分」の関係の中で「豊かさ」について考えて来ました。高坂さんの著作では、働き方も含めた「生活そのもの」をどのようにデザインし直すか、といった切り口でより現実的で参考になる事例が得られたと感じています。

近々「たまにはTSUKIでも眺めましょ」にも行ってみたいと思います。いろいろ話を聴いてみたいとおもいました。

*************************

原発廃止に賛成しています。

オンライン署名「枝野さん、安全な電気がほしいです」
http://www.greenpeace.org/japan/ja/form/edano3/  

浜岡原発反対署名フォーム
http://www.plumfield9905.jp/hamaoka/form/form.php
上関原発反対!あなたの声を届けよう!
http://www.antinuke.net/kaminoseki/

また、原子力委員会が意見を募集しています。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/tyoki_oubo.htm

*************************


昨日の地震 [インテンショニスト]

昨日の晩、東北地方でまた大きな地震がありました。

マグニチュード6.3だったと記憶していますが、このエネルギーは阪神大震災に匹敵する大きさです。先月の大地震の被災者の方々は本当に気が気ではないと思います。自然のいとなみに対しては、私たちは祈ることしかできません。一日も早く余震がおさまってくれることを祈るばかりです。

こうしてなにか大きな出来事があると、なんでも自分のことに関連づけるのは、必ずしも良いことではないような気もしますが、地震の時に感じた直感に従って、思ったことを書きたいと思います。

昨日の地震は何か催促を受けたような気がしています。「いいかげん気づいてくれよ!」「はやく選択しなさい。答えは出ているのに。ほら背中おしてやろうか?」と、いった感じでした。

自分の選択と自然のいとなみには、なんら因果関係はありません。ただ自分が思っていることが地震で触発されただけです。

今の生き方を見直す時が来ているような気がしています。


*************************

原発廃止に賛成しています。

オンライン署名「枝野さん、安全な電気がほしいです」
http://www.greenpeace.org/japan/ja/form/edano3/  

浜岡原発反対署名フォーム
http://www.plumfield9905.jp/hamaoka/form/form.php
上関原発反対!あなたの声を届けよう!
http://www.antinuke.net/kaminoseki/

また、原子力委員会が意見を募集しています。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/tyoki_oubo.htm

*************************

アースカラーセミナー〔第8回〕高坂勝氏の『減速して生きる~ダウンシフターズ』特別対話会 [日々の学び]

人生という自分に与えられた時間。

私があと何年生きるかは分かりませんが、人生という時間は有限です。「幸せだった」といえる人生を送るために、その限られた時間をどのように使うのか。そんなことを真剣に考える上で参考になる考え方をもらいに行きました。

昨日は『減速して生きる~ダウンシフターズ』の著者、高坂勝さんのセミナーに参加してきました(読書メモは後日掲載)。本を読んだのは4月3日。「この人の話を聴いてみたい!」と思ってググってみたら、なんと翌日にセミナーというタイムリーさ。さっそく申し込みました。


減速して生きる―ダウンシフターズ

減速して生きる―ダウンシフターズ

  • 作者: 高坂 勝
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2010/10
  • メディア: 単行本


高坂さんは大手企業を30歳で退職。その後、過去を棚卸しするための旅などをへて、2004年に6.6坪の小さなオーガニック・バー「たまにはTSUKIでも眺めましょ」を開店。お店の経営を行うかたわら、田んぼで米を自給する半農半X生活を送っています。

「ダウンシフターズ」という言葉は「さらに上へ」「さらに大きく」と目標を積み上げて、「努力」「成長」「拡大」に邁進することを常とする現代社会とは対極的な生活を送ります。過度な消費生活をやめ、自分の生活スタイルを見直し、自分自身の「豊かさ」や「幸せ」の基準を見つけて、それにあった仕事と生活を送ります。

「ダウンシフト」という言葉にややネガティヴな響きを感じるかも知れませんが、実際は超ポジティヴな生き方だと感じています。このような生活を選択した結果、減収を招くことがありますが、それとは引き換えに、家族や大切な人との豊かな時間や人々とのつながりが生まれ、そこから精神的豊かさを得ることができます。

私がいちばん知りたかったのは、ライフスタイルを変える時におそらく生じたであろう「精神的ハードルをどの様にこえたか?」など、本には書いてない現実的な問題への対処のしかたでした。

プログラム
1 開会の挨拶・趣旨の説明
2 ゲストトーク&質疑応答1
  オーガニックBar 「たまにはTSUKIでも眺めましょ」
    店主 高坂勝氏
  特別対話会 “ダウンシフト”は新しいライフスタイルの入り口
3 ワールドカフェ
  Round1 「対話会を通じてダウンシフトへの感想」
  Round2 「ダウンシフターズ、自分に当てはめるとどうなる?」


当日は、先日の震災や原発の話など高坂さんの社会活動の話が大半を占めてしまい、私の聴きたかったことへの答えは聞けずじまいだったのですが、一度バーに足を運んで話してみるというのもいいと思いました。

参加者の方々も様々なバックグランドを持っていて、新たなつながりもでき、得るところもあったセミナーでした。

*************************

原発廃止に賛成しています。

オンライン署名「枝野さん、安全な電気がほしいです」
http://www.greenpeace.org/japan/ja/form/edano3/  

浜岡原発反対署名フォーム
http://www.plumfield9905.jp/hamaoka/form/form.php
上関原発反対!あなたの声を届けよう!
http://www.antinuke.net/kaminoseki/

また、原子力委員会が意見を募集しています。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/tyoki_oubo.htm

*************************

原発廃止に賛成します [日々の考察]

政府は3月29日、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、2030年までに少なくとも14基の原発の新増設を目標に掲げた「エネルギー基本計画」を見直す方針を固めました。

読売オンライン
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/enterprises/manda/20110330-OYT8T00483.htm

『14基の原発新増設、見直し…太陽光など重視へ 』
(読売新聞 - 03月30日 03:14)

この方針が今後も堅持されることを強く望みます。

また、問題は新たに増設される原発だけではありません。静岡の浜岡原発など、今動いている原発も、危険度の高いものから廃止しなくてはならないと思います。

原発反対署名を集めている所です。賛同できる方はぜひ署名をお願いします。

オンライン署名「枝野さん、安全な電気がほしいです」
http://www.greenpeace.org/japan/ja/form/edano3/  

浜岡原発反対署名フォーム
http://www.plumfield9905.jp/hamaoka/form/form.php
上関原発反対!あなたの声を届けよう!
http://www.antinuke.net/kaminoseki/

また、原子力委員会が意見を募集しています。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/tyoki_oubo.htm

また、ロイターで原発政策に対してオンライン調査しています。
http://jp.reuters.com/news/globalcoverage/japanquake

キュレーションの時代:佐々木俊尚 [2011年読書記録]


キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)

キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる
(ちくま新書)

  • 作者: 佐々木 俊尚
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2011/02/09
  • メディア: 新書



本書は、情報社会の担い手としてのマスメディアの衰退と、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアの台頭という、情報社会の変化を生み出した時代背景の分析をもとに、未来の情報社会のビジョンを示したものです。

そのビジョンを語る上でのキーワードがキュレーションです。

キュレーションとは、「無数の情報の海の中から、自分の価値観や世界観に基づいて情報を拾い上げ、そこに新たな意味を与え、多くの人々と共有すること」と定義されています。

情報を選んで、意味づけ、共有することで、情報の受け手に「視座」を提供することとも言えます。

秀逸なのは情報社会のビジョンを導き出すに至った背景の分析です。インターネットの発展によるコミュニケーションの変化とそれに伴うマスメディアの行動、それによってもたらされた私たちの消費行動の変遷などが、多くの事例をもって説明されています。

情報そのものが価値をもつのではなく、情報を選別し意味づける「視座」が価値をもつ時代が未来の情報社会であり、そこでは、「視座」はマスメディアにより画一的に与えられるのではなく、ソーシャルメディアの普及の中、無数の発信者によって提供され、それにより個人の視座も書き換えられていきます。

その背景には、「モノの消費」よりも「人のつながり」を私たちは求めていて、情報の流れそのものも、「情報を得る」という即物的な流れから、情報が流れることで人と人がつながり、「共感や共鳴」を生み出すことが求められている時代になっているということがあると著者は述べています。

話題として、まとはずれかも知れませんが、震災後の情報収集で私が最も活用したのはツイッターでした。マスメディアの情報はフォロワーのツイートかリツイートでの紹介とNHKの報道しかあてにしていませんでした。情報の信頼性を自分が信頼できる第3者の目を使って担保していたのかも知れません。

そう考えると、情報の流れを扱う仕事や言葉(報道・広報・広告・マーケティングなど)は近い将来のうち再定義されていくんだろうなと思います。

Nellson's MEMO

情報のビオトーブ化
・ビオトーブとは
  情報をもとめる人が存在している場所
  小さな圏域であり・顔がみえて人となりが分かる濃密な関係がある
・課題
  ある情報を求める人はどこに存在しているのか?
  自分の欲しい情報はどこに行けば得ることができるのか?

記号消費→商品の機能・情報収集+人と人のつながり
・マスメディアの衰退とともに記号消費は衰退し、機能消費とつながり
 消費に二分された新しい世界が生まれた。
・社会との関係における最大の関心事は、他者からの承認・社会への接続
・消費という行為の向こう側に、他者の存在を認知し、他者とつながり、
 承認してもらうというあり方。
・キーワードは共鳴と共感

キュレーション=視座の提供
・マス消費が消滅し、新たなビオトーブが無数に生まれている情報圏域
 においては、情報は人のつながりを介してしか流れない。
・価値観や興味(コンテキスト)を共有する人の間では、互いに共鳴・
 共感がうまれ、持続する関係(エンゲージメント)、主客一体となっ
 てお互いに情報を交換し合うという関係が生まれる。
・共鳴と共感を生み出すコンテキストの空間には人が介在する必要がある
・視座(価値観・世界観)をもった人につながる事で、情報を得るのと
 同時に人(=視座)に繋がることができる
・ソーシャルメディア上では、人の信頼が可視化され、確認できる構造
 になっている。情報の真贋を見極めることはできないが、情報を流し
 ている人の信頼度
はおしはかることができる

セマンティックボーダー(情報をフィルタリングする基準)の書き換え
・コンテンツとコンテキスト/コンテキストを生み出すキュレーターの
 視座と視座にチェックインする人々
・キュレーターのコンテキストによって、視座は組み替えられる。
・膨大な情報のノイズの海から、それぞれの小さなビオトーブに適した
 情報は、無数のキュレーターによってフィルタリングされる。
 その情報にはコンテキストが付与され、そのコンテキストはキュレー
 ターによって人それぞれであるがゆえに、「何が有用な情報か」とい
 う個人のセマンティックボーダーはゆらぎ、書き換えられれていく。


選択とインテンション [日々の考察]

東北・関東での大震災から3週間がたちました。

そのとき私は勤めている会社のオフィスにいました。その時の情景は心から離れません。

亡くなられた方のご冥福をお祈りしたいと思います。
また避難所生活の皆さんのご苦労もはかりしれないものがありますが、
自分のできる貢献をしたいと思っています。

震災からしばらく更新が滞っていました。書きたいことや思いは次々と溢れてきても、「書く」ということができなかったのです。

書こうと思ってPCの前にすわるものの、ブログでもツイッターでも、なにを書いても自分の気持ちが表現できない。そもそも「書く」ということに自分の心が向かっていませんでした。

しかし、ようやく書こうという気分になりました。

今年のはじめに、今年ほど「選択」という言葉が重みをもつ年はない、といったを書きました。

2011年は状況が許すかぎり、自分の直感に素直に従って行動していこうと思います。

今年は私にとっても世の中にとっても分水嶺のような年になるでしょう。自分に素直になれる人となれない人、ポジティヴなモノとネガティヴなモノ、あらゆるものが分かれていく、そんな1年になるでしょう。

そして来るべきものは必ず来る。

具体的に何が来るのかはまだ分かりませんが、私にとっては「選択」という言葉が重要な意味をもつ1年になるでしょう。

自分の直感を信じて、軽やかに進んでいこうと思います。

2011-01-03『覚悟が全て』より


この文章はあくまでも個人的なことを書いていたつもりですし、ここで語っている『来るべきもの』が『地震』という形で訪れるということは全く思いもよらないことでした。

(閑話休題:「想定外」という言葉はこういう時に使うんですよ。東京電力さん。想定できたけど、想定したくなかったことに対して使う言葉ではありません。)

しかし、この地震という出来事を個人的に解釈していくと、自分は選択を突きつけられたのではと感じています。はやく選択しなさいと。

それは、あり方や生き方であり、社会とのかかわり方であり、さまざまな観点からの選択だと思います。

そして、選択を突きつけられたのは自分だけではなく、私たちひとりひとりもそうですし、ひとりひとりの集合体としての国も同様だと思います。


Be the change you want to see in the world.
Gandhi

自分がこの世界で見たいと思う変化に自らがなろう。
ガンジー(宗教家・政治指導者・弁護士)



3月11日の地震そして原発事故が契機となり、日本の社会システムが変わっていくことを意図します。そのために自分のできる貢献をしたいと思っています。

知がめぐり、人がつながる場のデザイン 働く大人が学び続ける"ラーニングバー”というしくみ:中原 淳 [2011年読書記録]


知がめぐり、人がつながる場のデザイン―働く大人が学び続ける”ラーニングバー”というしくみ

知がめぐり、人がつながる場のデザイン―働く大人が学び続ける”ラーニングバー”というしくみ

  • 作者: 中原 淳
  • 出版社/メーカー: 英治出版
  • 発売日: 2011/02/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


本書は著者が主催している「ラーニングバー(Learning bar)」という、組織を超えた「大人のための学びの場」への取り組みについて語られた本です。

「ラーニングバー」とは、大人の学びの機会を、異なる立場の人々が、対話を通じて異なる意見を知ることで、自分 を知り、考える場の提供を目的としたイベントです。そこでは「働く大人」と「組織」と「学習・成長」という3つの領域に関心のある人々が集い、関連する最先端のテーマをもとにプレゼンテーションやディスカッションが行われています。

本書は、その学びの場がなぜ生まれたのか?、学びを場をどの様に創っているのか?、どの様な課題が生まれているのか?、といったことについて語られています。

私は、研修やワークショップなどといった、学びの場を企画・デザインする仕事にたずさわっていますが、企画するにあたって、自分に巻き起こる問いは以下のようなものでした。

  • 学びの場をどのように演出すれば、参加者の学びは促進できるのか?
  • 異なる意見を知ることから、建設的な対話が生まれ、対話から新しい考えが生まれ出る。そんな環境をどの様に演出するか?
  • その場におけるファシリテーションのあり方は?
  • 運営スタッフが心がけるベキことは?


本書には、実際のラーニングバーの運営を通じて得られたノウハウや、発生した課題がたくさん書かれており、学びの場を設計する上で、非常に参考になりました。

著者は、ラーニングバーのような形態の学びの場がさまざまな形で開かれ、進め方も仮説検証的に多様なケースが生まれることを望んでいます。

私も本書で得られた学びを参考に、新たな学びの場づくりにチャレンジしていきたいと思いました。

学びの場の演出あり方を知る上で非常に参考になる本です。

Nellson's MEMO

ラーニングバーとは?
知的かつ愉しい(Serious fan)シリアス・ファンな場所

ラーニングバーのプロセス
①聞く②考える③対話する④気づく

ラーニングバーのルール
①「私」を主語にする。
②経験談や主観を歓迎 
③人はそれぞれ違っていて当たり前
④対話のなかでは「あえて判断を保留する」

コンセプトとなるキーワード
内省・対話・他者・語り・学習

支度・しつらえ・しかけ ①準備を整えて参加者を待つ(支度)
②参加者がくつろげる空間を演出する(しつらえ)
③すべての人がルールを共有する(しかけ)

用意と卒意/主客一体/一座建立

カリキュラムの設計
モジュール・ブリコラージュ・形成的評価/多様性と知識構築性

内容の設計
①テーマの設定(みんなの問題であるか?)
②講師の選定
③良質な問いかけ(ドライビング・クエスチョン)の設定

空間デザイン
①学習者中心主義
②主催者がみんなで楽しんでやる。やらされ感はすぐに学習者に伝わる。
③形成的評価を忘れない

学習とは
学習とは、すでに学習者がもっている知識と、新しく学習者が獲得した知識が反応し、さらに高次の知識が構築されるプロセスにほかならない。

学習を引き起こすためには、学習者のもつ知識を想定し、そこにどのような問いかけを投げかけ、何を導き出すのかについて、常にセンシティブになる必要があります。

対話と内省
良質な問いかけができなければ、対話はうまれない。対話なきところに、内省はうまれない。

対話とは、それぞれ人が「違うこと」「違った意見を持っていること」をいったんの判断を保留して、鑑賞・吟味しあう行為である。

自分にとっての「アタリマエ」を疑い、その背後にあるものに気がつくこと、それが対話のうみだす本当の効果。

学びを主催・運営する側の心がけ
人に対して「学べ・変われ」というメッセージを伝える人は、メッセージを受け取る人からも、「見られていること」に意識的でなければなりません。他人に「変われ・学べ」と言いながら、主催側がテーマについて学んでいないセミナーやフォーラムは論理矛盾でしょう。

セミナーやフォーラムやワークショップの設計とは、「コラボレーション」なのです。「この講師に話をしてもらうことで、自分たちはどんな問いかけを聴衆に投げかけたいのか」といったことを念頭におき、聴衆の学習経験の総体を講師とともにデザインしなければならない

カリキュラムの準備不足やファシリテーターの力量不足ゆえに、場当たり的に場の構成を見直さざるを得ない状況と経験あるファシリテーターが、あえて意図的に場を非構成的にデザインすることは、混同してはいけない

学習者中心主義
学習者中心主義とは
学習環境をデザインするときに、学習者がそれまでにもっている知識・技能・行動スタイルを最重要視すること。
学習者に十分なレディネスがある場合は凝った工夫は必要はない。学習者をしっかり見つめること。

場の心理的安全の確保
自分の所属している組織から切り離され、1人の大人としてその場にいられる空間を確保すること。
深く内省したり、他の参加者たちと開かれたコミュニケーションをとったりできる空間を確保すること。

参加者は、「自分はこの場でどう振る舞えばいいのか」と考えている。その際、情報源となるのはその場にる人たちの振るまい方です

自由闊達な対話を行いたいのであれば、学習者を過剰な自由に投げ込まないことです。しっかりとしたルールと制約を設定することが、逆に自由な対話・議論を促進する。

これから理解することの全体像をあらかじめ学習者が持っているかどうかは、非常に重要。

人は教えてもらえると思った瞬間、考えないスイッチが入る。

働く大人が勤務後に集中できる時間は30分。


書いて生きていく プロ文章論:上阪 徹 [2011年読書記録]


書いて生きていく プロ文章論

書いて生きていく プロ文章論

  • 作者: 上阪 徹
  • 出版社/メーカー: ミシマ社
  • 発売日: 2010/11/26
  • メディア: 単行本


本書は、編集者として『プロ論』など、数多くのベストセラーを手がけた著者が、「文章を書く」ということをテーマにご自身の考えをしたためたものです。文章を書くための技術的なことより、もっと大切な「文章を書く上での心得」について書かれています。

特に印象に残ったのは、著者の読み手への意識の高さです。誰に向かって書くのか?。読み手はどんな人なのか?。読み手はどんなことに興味を持っているのか?。とにかく読み手のことを徹底的に知ろうとしています。

また、文章のクオリティを高めることだけでなく、関係者の方との良好な関係を維持するための努力も忘れていません。

その道のプロの方というのは、技術に長けているのは勿論ですが、それだけではなく、当たりまえのことを当たりまえに、キチッとやることができる人なのだなぁと、つくづく思います。

ライターという職業を越えて、自分の仕事にどの様にかかわるか、示唆に富む言葉が満載の本です。

ライターとはじめ文章を書く仕事をされている方にはもちろんのこと、あらゆる職業に携わる全ての方にオススメできる本です。

Nellson's MEMO
文章を書く目的があって、対象となるべきターゲットがいて、そのターゲットに読んでもらえるような文章にしなくてはならない。
  • いい文章を書こうと思う前に、文章の怖さを知っておくこと。
  • 読者は基本的に、やさしい文章でものごとを理解したいと思っている。
  • 読者には読まなければいけない義務などない。
  • 誰に向けての文章なのか具体的にイメージする。
  • 書く文章の目的を徹底的に頭にたたき込むこと。
  • そもそも文章を書く目的は何か?それは読者に何かを理解してもらう。これ以上の優先順位はない。
  • 文章は「どう書くか」ではなく「何を書くか」が大切。
  • 形容詞は使わない。できるだけ多くの具体的な事実や数字を盛り込んでいく。
  • 事前に構成を考えておく。

わかりやすくて、平易で、テンポがよくて、歯切れがいい。
  • できるだけ平易な言葉で書く。
  • 行を替えて、白いスペースを増やしていく。
  • 短いセンテンスの文章を書く。目安は40〜80字。
  • 形容詞は使わない。できるだけ具体的な内容(事実や数字)を盛り込んでいく。
  • 慣用句的な言葉を使わない。「分かっているようで分かっていない言葉」であり、思いや感触を自分の言葉で伝えられていない
  • 自分で書いた文章をきちんと読みかえす。

  • 批評や批判をする側は、対象があるからこそ存在できる文章なのだということを認識し、すくなくとも対象へのリスペクトがあってしかるべき。
  • 自分がうまいと思った文章を読み込む。その際なぜうまいと思ったのかを考える。
  • 緊張するのは、自分をよく見せたい、立派に見せたい、大きく見せたいと思うから。
  • できる人は商品の向こう側を見ている。
  • 相場観を同じくする人を大切にする。一方で相場観を同じくする人を探し続ける。
  • 原稿のクオリティを上げることに専念する。締め切りを守る。
  • インプットを変えない限りアウトプットは変わらない。
  • 評価は他人がするものです。評価は自分で下せないのです。


タグ:読書記録

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。